論述傑作集

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日本密教とチベット密教の関係の初歩

日本密教とチベット密教の関係の初歩 智廣阿闍梨 智廣阿闍梨の真言宗法衣姿 南无格日! 一、自己紹介 尊敬する赖富本宏教授、ご来場の皆様,こんにちは。 私は中国から参りまして、今日、日本仏教の真言宗で有…

2016.05.27

日本密教とチベット密教の関係の初歩

智廣阿闍梨

智廣阿闍梨の真言宗法衣姿

南无格日!

一、自己紹介

尊敬する赖富本宏教授、ご来場の皆様,こんにちは。

私は中国から参りまして、今日、日本仏教の真言宗で有名な高等学院の種智院大学にて、高僧大徳、専門学者の方々と共に仏法の交流が出来ることを光栄の至りに存じます。

私は幼い頃から、漢伝仏教の各宗派の顕密教法を学んで来ました、1996年からチベット仏教を勉強し、修法をし始めました。2004年から日本に参り、今まで真言密教と天台密教などの教えを勉強して来ました。また、高野山、醍醐寺、比叡山などの各所で、より一歩深く踏み込んで学びました。1993年から現在に至るまで仏法の教えを教え続けております。

これから申し上げる観点は全て私自身が三十年間に渡って仏法の教えを研修し、会得したものであると共に、日本の高僧大徳の方々のご観点を参考にしたものです。

二、日本密教とチベット密教の同源異流

チベット密教と日本密教の源は同じくインドでありながら、今の両宗教の有様は全く違います。修行の理念と方法もそれぞれです。しかし、多くの異なりがあっても、ある程度の共通点があるのも事実です。

まず、各派の密教は有様が違うけれど、同じくインド密教に伝承されたものです。また、修行の目的は皆一致で即身成仏することです。

しかし、日本密教とチベット密教の実際の作法はかなり異なっています。日本密教の中で、伝承法脈と実修方法はまだ完全に統一していません。例えば、真言宗と天台宗の両宗に大きく分かれています。その両宗はまたそれぞれ多数の流派に分かれています。

日本密教の修法は基本的に二つに分かれます。一つは《大日経》から生まれた胎藏界法,もう一つは《金刚顶経》から生まれたの金剛界法,そして、《理趣経》法の中の一尊法など(《理趣経》の曼荼羅を本尊としての修法)、胎藏界と金剛界の次第によって生まれたのです。

日本密教の中で、真言と天台両宗の各自の流派では、実修の細則は異なっています。しかし、四度加行、一尊法(観音などの一尊を本尊とするの修法)の中心部分はほぼ一緒です。

チベット密教では、さらに複雑になってます。主な流派はニンマ派、カギュ派、サキャ派、ゲルク派などがあります。ニンマ派は“旧派”と呼ばれます、その他の三派は“新派”と呼ばれています。修法も各自の特色があります。

チベット密教と日本密教の主な違いとして、チベット仏教の修法体系では、顕から密に入るのが一般的で、顕宗を学んでから密宗に入ります。このことは大乗仏教の基礎理論によく見られます。なかでも比較的に有名な論著は、ゲルク派の《菩提道次第広論》《密宗道次第広論》、ニンマ派の《普贤上师言教—大圆满前行引導文》《大圆满心性休息》があります、内容はチベット密教の顕から密に入る事が特徴として表してあります。日本密教のうち、特に真言密教では、昔は多くの高僧大徳は顕密兼修でいらしゃいましたが、現代の修法体系の中では、真言密教は顕宗を学ばず、直接密宗に入ることになりました。天台密宗には、まず顕宗、それから密宗という学修順序があります。真言密教では、顕宗から密宗に入るのは遠回りで、直接密教に入るのは最も近道であり、かつ正道であるとされています。

また、密教は広大な海のように、包容力が非常に大きいのが一つの特徴である。このことは密教が各地の民族宗教と融合していることから分かります。

ただ、比較的にはチベット密教の変化は少ない一方、日本の密教は中国を経由して伝わって来た為、インド密教と相対的に比較すると、形式上大きく変化した部分もあります。

日本密教は直接インドから伝わって来たのではなく、公元九世紀初に中国を回って伝わって来ました。勿論、日本密教は公元八世紀前のインド密教の主流を継承してありましたが、やはり中国文化の影響を受けた上で、日本に浸透する過程で、日本古来の民俗信仰を取り入れられて、現在の宗教形態になりました。

何十年も昔、松長有慶様、頼富本宏様含め、多く日本の高僧大徳の方々はチベット密教を深く知る為にインド等に赴かれました。この高僧大徳の方々も皆チベット密教と日本密教の異同を本に書記して比較しました。この研究結果の中で、二つの観点をぜひ皆さんに知って頂きたいと思います。まず、彼らはチベット密教は日本密教よりも、インド密教本来の様式に近いと考えました。日本密教と比べ、チベット密教は直接インドから伝わった為、忠実にインド密教を伝承して来ました。チベットの人たちは経典を翻訳する際にも、極めて忠実で、チベット語で訳した仏経を逆に翻訳したら、ほぼ原経典に還元される事ができることからも、その高い忠実度が分かると思います。そして、経典の翻訳が完全かつ忠実なばかりでなく、儀軌の内容も、思想の内容も、インドから伝わって来た通り、そのままに保存されています。学術の考証の立場から言うと、チベット密教の価値は、インド密教の本来の姿が分かる事が出来る事です。貴重価値の極みと言ってもいいでしょう。例えば、日本に伝わって来た胎藏界、金剛界の曼荼羅については、仏像といい、菩薩の絵描き方といい、全体的な構図といい、経典の記述通りではない所があります。一方で、チベット仏教では金剛界の曼荼羅は経典の記述と完全に一致しています。この事から分かるように、インド密教本来の様子を知りたいのであれば、チベット密教を参考にするのがとても良いと思います。次に、もう一つの研究結果から、インドの後期密教はほとんど日本に伝わっておらず、チベットには伝わっていたことが分かります。ですので、インド密教、特に無上ヨ-ガタントラを知るためには、チベット仏教を参考にしなければなりません。

私が把握している限りでは、近現代、日本の仏教界ではチベット密教に対して、より深くの研究が進んでおられるようです。今までの参考資料から見ると、主にゲルク派に対しての研究が多いと見られます。松長有慶先生は自ら執筆された《東方智慧の崛起》の中でも、日本密教とチベット密教、主に日本の真言密宗とチベットのゲルク派の比較論を述べていらしゃいますので、私がここで贅言するまでもないと思います。

ここで、中国また全世界の中で今比較的に盛んでいる、チベット密教の二ンマ派について簡単に紹介させて頂きたいと思います。

三、ニンマ派の九乗仏法の紹介

私自身はチベット密教の学修の間に、四つの宗派とも学んで来ましたが、特に最も多かったのがニンマ派の学修です。

ニンマ派は一番最初にチベットに伝わって来ました仏教流派であります。ニンマ派は全ての仏法を九乗に分かれてあるのが最も大きなの特徴です。ニンマ派の云丹嘉措尊者が著作された《自性大圆满支分決定三戒論释》の中で、この九乗法について、紹介してあります。

此依大圆满自宗,声聞縁覚菩萨乘,

称为法相因三乘,事行瑜伽外三续,

无上父续大瑜伽,随类瑜伽即母续,

明点瑜伽无二续,称内三续九乘摄。

いわゆる九乗仏法は因タントラ、外タントラ、内タントラを含めてあります。

因タントラは小乗及び大乗の経典に依拠した顕宗の内容で、声聞乗、縁覚乗と菩薩乗を含まれてあります。中には声聞乗、縁覚乗は小乗仏法で、菩薩乗は大乗仏法になります。“善智識から仏法を聞いて、また聞き取れた仏法を他人に伝授するものは声聞と呼ばれます。他者に頼らず、自らで悟りを開いたものは縁覚と呼ばれます。自らの為のみならず、一切の人間の悟りのために修行している、自利利他のものは菩薩と呼ばれます。”インドでは、菩薩乗には中観と唯識が含めてあります。“このタントラによって、相応の果位に到達できるルートを示してあり、故に法相と呼ばれてます。しかも、このタントラはそれをもって自らがそれ相応の果位に到達する直接の要因であり、悟りを開いた仏の境地に至るの間接の要因であり、従果向因(じゅうかこう因)ではなく、従因至果(じゅういんしか)であるので、因のタントラと呼ばれてます。

“外タントラはクリヤー乗、ウバ乗、ヨーガ乗に分けてあります。クリヤー乗は主に外的な行為を中心とする説いてあります。ウバ乗は修法の外的、内的の行為とも平等に視されます。ヨーガ乗は主に内的な修行を説いてあります。このタントラは因タントラの形と似っている上、また他のルートを見つけて悉地に至るので、外三続とも呼ばれます。”クリヤー乗は外的の面を重視されてます。ウバ乗の特徴は外的、内的とも重視されてます。ヨーガ乗は比較的に内的な修行を重視されてますが、外的な形は重視されていません。

チベット仏教にも、《大日経》と《金剛頂経》があります。チベット仏教では、《大日经》がウバ乗の修法に属してある、《金剛頂経》がヨーガ乗の修法に属してあるのは一般的に考えられてます。でも、私は日本の真言密宗への勉強によって、知っている限りでは、《大日経》と《金剛頂経》は元々ウバ乗とヨーガ乗に属してありますが、空海大師は更に発展させられたお陰で多くの観点はウバ乗とヨーガ乗を乗り越えてます。ですから、個人的には日本真言密教での多く観点がもう既に無上ヨーガ部に近いと考えております。例えば、真言宗の伝法院の覚鑁上人著作《真言净菩提心私記》の中の観点は比較的にチベット密教の大手印、ゾクチェンの観点に近います。

ニンマ派の最も特徴的な教法は内タントラです。“内タントラにはマハーヨーガ乗、アヌヨーガ乗とアティヨーガ乗に分けられています。外三続より優れている所が沢山ありますが、纏めて言うと、因の見解の修行の違う事で無上続部と呼ばれます。もっと詳しく分析するなら、方便生起次第を説いているのは父タントラであり、大ヨーガとも呼ばれます。空性大楽の獲得(智慧円満)を目指す究竟次第を説いているのは母タントラであり、随類ヨーガとも呼ばれます。それらを不可分に実践するのは不二タントラであり、明点ヨーガとも呼ばれます(ゾクチェン)。特徴としては、円寂した時に虹の身体を得ることです。このタントラは悟りを開き、輪廻も涅槃も清浄を求めて、他所に悉地を求める事無くことから内タントラと呼ばれます。”

マハーヨーガ乗は主に方便生起次第を重視しています。アヌヨーガ乗は主に智慧円満の次第を説いています。私個人的には日本密教の金剛界の多くの修行がマハーヨーガ乗に近いと考えております。けれども、内在的の気脈明点を主な修行方法とするアヌヨーガは今の所日本にはないと思われます。気脈明点の修法は無上ヨーガ部の重要な内容の一つです。

最後に、ニンマ派で一番重要なアティヨーガ乗は、方便と智慧の双方の働きによる光明次第の修法と言われていますが、もう一つ別の有名な名称は:ゾクチェンです。ゾクチェンの特徴は臨終の際に虹の身体を得る現象が起きることです。チベットでは多くのニンマ派の修行人が臨終の際に虹の身体となり、一番良く修得できた人は全身が光と化し、全てが完全に消失します。もし全身が光とならない場合でも、身体全体が縮小します。私に継承してくださっている師匠の方々の中にも、この二三十年の間に多くの方に虹の身体が成就する現状が起きました。例をあげると、新龍の阿曲尊者、色達の年龍上师、亚青寺の阿秋喇嘛等の方々です,これがニンマ派の特有な部分です。

四、第十五世大宝法王の預言授記

本日は時間の関係で、もっと詳しく紹介することはできませんでしたが、これらの至って簡単な報告をさせて頂きました。もし皆様にご興味があれば、今後是非更に深い交流ができたらと思います。

最後に、皆様ととても興味深くおもしろい預言(授記)をお分かちしたいと思います。チベットガキュ派の最高指導者、第十五世大宝法王の時代、こういう事がありました。ブータン王国のある弟子が第十五世大宝法王に日本の象牙彫刻を贈りました。その彫刻の表面にはお釈迦様が悟りを開いた物語が彫られていました。

当時(大体百年ほど前の出来事ですが)、大宝法王はこの象牙の彫刻を受け取り、日本では仏法がとても盛んであると聞き、とても驚いたそうです。あんなに遠い島国でありながら、仏教がこんなにも栄えている事を彼は非常に不思議に思い、このことで彼は非常に喜び、特別に3日間お経を唱え、回向を唱え、その後彼は一つの預言をしました、曰く、未来にもし日本密教とチベット密教が結合できたなら、世界中の仏教が一つに融合し栄えるであろう。

チベットでは、大宝法王の預言はほぼ的中であると考えられています。ここで、私も日本密教とチベット密教全ての高僧大徳の方々に申し上げたいと思います。私たちは皆、互い心を開き交流し、勉強し、仏法の繁栄のを促進し、この世の全ての生けるものの利益となる為に、共に頑張って行きましょう。

以上で私の拙い見解ですが、日本密教とチベット密教の交流に微力ながら貢献できればと切に願います。高僧大徳の方々にぜひご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。有難うございました。

——日本種智院大学にて演説の原稿による修正加筆。

 

日本密教とチベット密教の関係の初歩

日本密教とチベット密教の関係の初歩

2016-05-26

日本密教とチベット密教の関係の初歩

智廣阿闍梨

智廣阿闍梨の真言宗法衣姿

南无格日!

一、自己紹介

尊敬する赖富本宏教授、ご来場の皆様,こんにちは。

私は中国から参りまして、今日、日本仏教の真言宗で有名な高等学院の種智院大学にて、高僧大徳、専門学者の方々と共に仏法の交流が出来ることを光栄の至りに存じます。

私は幼い頃から、漢伝仏教の各宗派の顕密教法を学んで来ました、1996年からチベット仏教を勉強し、修法をし始めました。2004年から日本に参り、今まで真言密教と天台密教などの教えを勉強して来ました。また、高野山、醍醐寺、比叡山などの各所で、より一歩深く踏み込んで学びました。1993年から現在に至るまで仏法の教えを教え続けております。

これから申し上げる観点は全て私自身が三十年間に渡って仏法の教えを研修し、会得したものであると共に、日本の高僧大徳の方々のご観点を参考にしたものです。

二、日本密教とチベット密教の同源異流

チベット密教と日本密教の源は同じくインドでありながら、今の両宗教の有様は全く違います。修行の理念と方法もそれぞれです。しかし、多くの異なりがあっても、ある程度の共通点があるのも事実です。

まず、各派の密教は有様が違うけれど、同じくインド密教に伝承されたものです。また、修行の目的は皆一致で即身成仏することです。

しかし、日本密教とチベット密教の実際の作法はかなり異なっています。日本密教の中で、伝承法脈と実修方法はまだ完全に統一していません。例えば、真言宗と天台宗の両宗に大きく分かれています。その両宗はまたそれぞれ多数の流派に分かれています。

日本密教の修法は基本的に二つに分かれます。一つは《大日経》から生まれた胎藏界法,もう一つは《金刚顶経》から生まれたの金剛界法,そして、《理趣経》法の中の一尊法など(《理趣経》の曼荼羅を本尊としての修法)、胎藏界と金剛界の次第によって生まれたのです。

日本密教の中で、真言と天台両宗の各自の流派では、実修の細則は異なっています。しかし、四度加行、一尊法(観音などの一尊を本尊とするの修法)の中心部分はほぼ一緒です。

チベット密教では、さらに複雑になってます。主な流派はニンマ派、カギュ派、サキャ派、ゲルク派などがあります。ニンマ派は“旧派”と呼ばれます、その他の三派は“新派”と呼ばれています。修法も各自の特色があります。

チベット密教と日本密教の主な違いとして、チベット仏教の修法体系では、顕から密に入るのが一般的で、顕宗を学んでから密宗に入ります。このことは大乗仏教の基礎理論によく見られます。なかでも比較的に有名な論著は、ゲルク派の《菩提道次第広論》《密宗道次第広論》、ニンマ派の《普贤上师言教—大圆满前行引導文》《大圆满心性休息》があります、内容はチベット密教の顕から密に入る事が特徴として表してあります。日本密教のうち、特に真言密教では、昔は多くの高僧大徳は顕密兼修でいらしゃいましたが、現代の修法体系の中では、真言密教は顕宗を学ばず、直接密宗に入ることになりました。天台密宗には、まず顕宗、それから密宗という学修順序があります。真言密教では、顕宗から密宗に入るのは遠回りで、直接密教に入るのは最も近道であり、かつ正道であるとされています。

また、密教は広大な海のように、包容力が非常に大きいのが一つの特徴である。このことは密教が各地の民族宗教と融合していることから分かります。

ただ、比較的にはチベット密教の変化は少ない一方、日本の密教は中国を経由して伝わって来た為、インド密教と相対的に比較すると、形式上大きく変化した部分もあります。

日本密教は直接インドから伝わって来たのではなく、公元九世紀初に中国を回って伝わって来ました。勿論、日本密教は公元八世紀前のインド密教の主流を継承してありましたが、やはり中国文化の影響を受けた上で、日本に浸透する過程で、日本古来の民俗信仰を取り入れられて、現在の宗教形態になりました。

何十年も昔、松長有慶様、頼富本宏様含め、多く日本の高僧大徳の方々はチベット密教を深く知る為にインド等に赴かれました。この高僧大徳の方々も皆チベット密教と日本密教の異同を本に書記して比較しました。この研究結果の中で、二つの観点をぜひ皆さんに知って頂きたいと思います。まず、彼らはチベット密教は日本密教よりも、インド密教本来の様式に近いと考えました。日本密教と比べ、チベット密教は直接インドから伝わった為、忠実にインド密教を伝承して来ました。チベットの人たちは経典を翻訳する際にも、極めて忠実で、チベット語で訳した仏経を逆に翻訳したら、ほぼ原経典に還元される事ができることからも、その高い忠実度が分かると思います。そして、経典の翻訳が完全かつ忠実なばかりでなく、儀軌の内容も、思想の内容も、インドから伝わって来た通り、そのままに保存されています。学術の考証の立場から言うと、チベット密教の価値は、インド密教の本来の姿が分かる事が出来る事です。貴重価値の極みと言ってもいいでしょう。例えば、日本に伝わって来た胎藏界、金剛界の曼荼羅については、仏像といい、菩薩の絵描き方といい、全体的な構図といい、経典の記述通りではない所があります。一方で、チベット仏教では金剛界の曼荼羅は経典の記述と完全に一致しています。この事から分かるように、インド密教本来の様子を知りたいのであれば、チベット密教を参考にするのがとても良いと思います。次に、もう一つの研究結果から、インドの後期密教はほとんど日本に伝わっておらず、チベットには伝わっていたことが分かります。ですので、インド密教、特に無上ヨ-ガタントラを知るためには、チベット仏教を参考にしなければなりません。

私が把握している限りでは、近現代、日本の仏教界ではチベット密教に対して、より深くの研究が進んでおられるようです。今までの参考資料から見ると、主にゲルク派に対しての研究が多いと見られます。松長有慶先生は自ら執筆された《東方智慧の崛起》の中でも、日本密教とチベット密教、主に日本の真言密宗とチベットのゲルク派の比較論を述べていらしゃいますので、私がここで贅言するまでもないと思います。

ここで、中国また全世界の中で今比較的に盛んでいる、チベット密教の二ンマ派について簡単に紹介させて頂きたいと思います。

三、ニンマ派の九乗仏法の紹介

私自身はチベット密教の学修の間に、四つの宗派とも学んで来ましたが、特に最も多かったのがニンマ派の学修です。

ニンマ派は一番最初にチベットに伝わって来ました仏教流派であります。ニンマ派は全ての仏法を九乗に分かれてあるのが最も大きなの特徴です。ニンマ派の云丹嘉措尊者が著作された《自性大圆满支分決定三戒論释》の中で、この九乗法について、紹介してあります。

此依大圆满自宗,声聞縁覚菩萨乘,

称为法相因三乘,事行瑜伽外三续,

无上父续大瑜伽,随类瑜伽即母续,

明点瑜伽无二续,称内三续九乘摄。

いわゆる九乗仏法は因タントラ、外タントラ、内タントラを含めてあります。

因タントラは小乗及び大乗の経典に依拠した顕宗の内容で、声聞乗、縁覚乗と菩薩乗を含まれてあります。中には声聞乗、縁覚乗は小乗仏法で、菩薩乗は大乗仏法になります。“善智識から仏法を聞いて、また聞き取れた仏法を他人に伝授するものは声聞と呼ばれます。他者に頼らず、自らで悟りを開いたものは縁覚と呼ばれます。自らの為のみならず、一切の人間の悟りのために修行している、自利利他のものは菩薩と呼ばれます。”インドでは、菩薩乗には中観と唯識が含めてあります。“このタントラによって、相応の果位に到達できるルートを示してあり、故に法相と呼ばれてます。しかも、このタントラはそれをもって自らがそれ相応の果位に到達する直接の要因であり、悟りを開いた仏の境地に至るの間接の要因であり、従果向因(じゅうかこう因)ではなく、従因至果(じゅういんしか)であるので、因のタントラと呼ばれてます。

“外タントラはクリヤー乗、ウバ乗、ヨーガ乗に分けてあります。クリヤー乗は主に外的な行為を中心とする説いてあります。ウバ乗は修法の外的、内的の行為とも平等に視されます。ヨーガ乗は主に内的な修行を説いてあります。このタントラは因タントラの形と似っている上、また他のルートを見つけて悉地に至るので、外三続とも呼ばれます。”クリヤー乗は外的の面を重視されてます。ウバ乗の特徴は外的、内的とも重視されてます。ヨーガ乗は比較的に内的な修行を重視されてますが、外的な形は重視されていません。

チベット仏教にも、《大日経》と《金剛頂経》があります。チベット仏教では、《大日经》がウバ乗の修法に属してある、《金剛頂経》がヨーガ乗の修法に属してあるのは一般的に考えられてます。でも、私は日本の真言密宗への勉強によって、知っている限りでは、《大日経》と《金剛頂経》は元々ウバ乗とヨーガ乗に属してありますが、空海大師は更に発展させられたお陰で多くの観点はウバ乗とヨーガ乗を乗り越えてます。ですから、個人的には日本真言密教での多く観点がもう既に無上ヨーガ部に近いと考えております。例えば、真言宗の伝法院の覚鑁上人著作《真言净菩提心私記》の中の観点は比較的にチベット密教の大手印、ゾクチェンの観点に近います。

ニンマ派の最も特徴的な教法は内タントラです。“内タントラにはマハーヨーガ乗、アヌヨーガ乗とアティヨーガ乗に分けられています。外三続より優れている所が沢山ありますが、纏めて言うと、因の見解の修行の違う事で無上続部と呼ばれます。もっと詳しく分析するなら、方便生起次第を説いているのは父タントラであり、大ヨーガとも呼ばれます。空性大楽の獲得(智慧円満)を目指す究竟次第を説いているのは母タントラであり、随類ヨーガとも呼ばれます。それらを不可分に実践するのは不二タントラであり、明点ヨーガとも呼ばれます(ゾクチェン)。特徴としては、円寂した時に虹の身体を得ることです。このタントラは悟りを開き、輪廻も涅槃も清浄を求めて、他所に悉地を求める事無くことから内タントラと呼ばれます。”

マハーヨーガ乗は主に方便生起次第を重視しています。アヌヨーガ乗は主に智慧円満の次第を説いています。私個人的には日本密教の金剛界の多くの修行がマハーヨーガ乗に近いと考えております。けれども、内在的の気脈明点を主な修行方法とするアヌヨーガは今の所日本にはないと思われます。気脈明点の修法は無上ヨーガ部の重要な内容の一つです。

最後に、ニンマ派で一番重要なアティヨーガ乗は、方便と智慧の双方の働きによる光明次第の修法と言われていますが、もう一つ別の有名な名称は:ゾクチェンです。ゾクチェンの特徴は臨終の際に虹の身体を得る現象が起きることです。チベットでは多くのニンマ派の修行人が臨終の際に虹の身体となり、一番良く修得できた人は全身が光と化し、全てが完全に消失します。もし全身が光とならない場合でも、身体全体が縮小します。私に継承してくださっている師匠の方々の中にも、この二三十年の間に多くの方に虹の身体が成就する現状が起きました。例をあげると、新龍の阿曲尊者、色達の年龍上师、亚青寺の阿秋喇嘛等の方々です,これがニンマ派の特有な部分です。

四、第十五世大宝法王の預言授記

本日は時間の関係で、もっと詳しく紹介することはできませんでしたが、これらの至って簡単な報告をさせて頂きました。もし皆様にご興味があれば、今後是非更に深い交流ができたらと思います。

最後に、皆様ととても興味深くおもしろい預言(授記)をお分かちしたいと思います。チベットガキュ派の最高指導者、第十五世大宝法王の時代、こういう事がありました。ブータン王国のある弟子が第十五世大宝法王に日本の象牙彫刻を贈りました。その彫刻の表面にはお釈迦様が悟りを開いた物語が彫られていました。

当時(大体百年ほど前の出来事ですが)、大宝法王はこの象牙の彫刻を受け取り、日本では仏法がとても盛んであると聞き、とても驚いたそうです。あんなに遠い島国でありながら、仏教がこんなにも栄えている事を彼は非常に不思議に思い、このことで彼は非常に喜び、特別に3日間お経を唱え、回向を唱え、その後彼は一つの預言をしました、曰く、未来にもし日本密教とチベット密教が結合できたなら、世界中の仏教が一つに融合し栄えるであろう。

チベットでは、大宝法王の預言はほぼ的中であると考えられています。ここで、私も日本密教とチベット密教全ての高僧大徳の方々に申し上げたいと思います。私たちは皆、互い心を開き交流し、勉強し、仏法の繁栄のを促進し、この世の全ての生けるものの利益となる為に、共に頑張って行きましょう。

以上で私の拙い見解ですが、日本密教とチベット密教の交流に微力ながら貢献できればと切に願います。高僧大徳の方々にぜひご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。有難うございました。

——日本種智院大学にて演説の原稿による修正加筆。